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〇 モンテカルロ法とは数学的技法の一つで、乱数を用ゐて
シュミレーションを何度も行なひ得られた結果から問題の
近似的な解を求めるといふものです。
〇 囲碁のコンピューター・ソフトは随分出回ってゐますが、
その実力の程は最強でもアマの1級~初段くらゐと云はれ
てきました。ところが、最善より 確率を重視したモンテカ
ルロ法を採用した囲碁プログラム「Zen]が開発され、
様相は一変しました。
〇 昨年「Zen」を搭載した囲碁ソフト『天頂の囲碁』が発
売されました。その発売記念として対局したプロ棋士王銘琬
九段は、その実力をアマの3、4段と云ってゐます。将来こ
の様なソフトがプロ並みの実力を備へるやうになるかは未知
数ですが、有段者が囲碁ソフトを使用して腕を磨く時代が到
来したことは確かです。
〇 囲碁の局面の変化数は10の360乗、将棋は10の220乗、
チェスは10の120乗です。因みに、チェスは1997年に
IBMのソフトが世界チャンピオンを破りました。将棋ソフ
トの開発メンバーは数年後には名人や竜王に勝ちたいと意気
込んでゐます。さて、囲碁は?
・(この記事は、小生が発行する本日付け“囲碁クラブだより”
より転載したものです。)
をはり
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〇 9月1日大相撲第45代横綱初代若乃花逝去。82歳。
〇 写真下:新横綱若乃花(太刀持 琴ヶ浜)華やかな栃若時代
〇 若乃花くらいその相撲振りを多彩に表現された力士が居た
だらうか。
曰“土俵の鬼” 曰“異能力士”、曰“かかとに目がある”
曰“ 足の裏に目がある” 、曰“ 仏壇返しの荒技” 曰“二枚
腰”、曰 “膝に遊び(ゆるみ)がある”、
曰“小さな大力士” ets...。
〇 若乃花の相撲の特徴
1.どんな大きな相手であっても頭をつけずガップリ四つに
組む。
(入幕78㎏,最重105㎏)
2.技の切れがよく、強烈。(それを、彼は“投げは八百長に
打たない”と表現してゐる)いい加減な打ち方をせず、決ま
らない時は自分が負ける時といふ位徹底してゐた。
だから良く決まったし、相手は土俵にたたきつけられた。
3.うっちゃり腰がない。(決まり手「うっちゃり」で勝った
ことは一度もない)
土俵際まで寄られても左右に逃げたり うっちゃらうとし
ない。強力な足腰で残し堂々と寄り返す。彼の両足の指は
砂に食い込むやう鉤形に曲がってゐた。
4.土俵上で転がされて負けることが殆どない。(足腰が強靭
で、投げを食はない)
5.相撲振りがきれい(清澄)で潔く屈託がない。立ち渋りが
殆どなく、さわやか。
6.無口。自分の相撲について多くの説明・批評をしない。
取組後、記者から訊かれても「見たとほり」と一言述べる
のみだった。
〇 もう こんな 凄くて人気のある力士は出ない。
1.上述(6項目)の全てを満たす「けれん味」のない力士
はもう出現不可能だ。
2.荒稽古で鍛へた鋼(はがね)の様な一種凄みのある体を
持つ力士の出現はもう期待し得ないこと。若乃花の荒稽古
は生きるか死ぬかの様な激しいもので、思はず目を背けた
くなる位の凄みがあった。
3.その鋼鉄の様に鍛へた体から繰り出される絢爛・華麗な
技に相撲ファンは酔った。
若乃花が左四つ右上手を取ればあの容赦のない土俵にた
たきつける様な上手投げがいつ出るか、右四つ左上手を取
れば右からの呼び戻しの荒技がいつ出るか館内は熱狂し大
歓声と拍手の渦で騒然となった。
こんなにも相撲ファンを興奮させる魅力を持った力士は
もう出現不可能だ。
4.栃錦と並んで若乃花が昭和の名横綱と呼ばれる所以は
なにか。
彼以降、彼以上に数字の上での成績を残した力士は
大鵬をはじめとして5指に余る。しかし、彼以上に館
内を大歓声で沸かせた力士を知らない。若乃花は負け
ない相撲を取った力士ではない。要は勝ち方の質の問
題なのだ。彼への大歓声は鍛えに鍛えた小さな体で、
大きな相撲を取り相撲ファンに夢を与へ続けた彼への
オマージュだったのだ。
〇 すり足の芸術
1.栃若時代の終焉となる昭和35年春場所千秋楽に於ける
14戦全勝同士の対決は史上初といふことで異常な盛り上
がりをみせた。
2.栃はいくつかの連続わざの中から勝利を導きだすのに
対し、若は一発必殺に運命を賭ける。まさに“名人”と
“異能”の最後の対決だった。もう50年以上経ってしまっ
たが、その攻防は時に応じニュースや特集番組等で報じら
れてきた。
3.ところがこの取組の一部始終が流されることはまずない。
従って両者が攻防の合ひ間に見せる“すり足”の妙(みょう)
に気づかれ、記憶されてゐる方は余程の見巧者だけだらう
と思ふ。
4.技を極めた両者ががっぷり左四つに組んだら、そう簡単
に業が決まるものではない。数度の攻防の末、相手の技を
警戒して土俵中央に戻らうする両者の“すり足”がなんとも
素晴しいのだ。土俵上の芸術にまで昇華してゐると言って
も過言ではない。こんなに美しい“すり足”は今に至るも見
たことがない。
○ 最後に、全盛時の豪快・華麗な土俵を写真でどうぞ。
〇 S35春千秋楽・史上初の横綱14戦全勝同士の決戦。
ドーと立って左四つ。両者うわ手、した手を十分に取る。
互ひに若の寄り身、栃の吊り身、栃土俵中央に寄り返し
て内掛け。その後両者 技を出し合ひ、また数呼吸。長期
戦の模様。栃錦(右)は、長引いては不利と、左差手を
抜き若乃花(左)の右上手を切りにいった。その機を逃さ
ず、若は怒涛の寄り身で栃を白房下に寄り切った。
仕切りに入る貫禄十分の両力士。
(写真画報:栃若時代より)
立ち上がった瞬間(左:栃錦、 右:若乃花) 
差し手の攻防
(検査役は、左:元横綱双葉山、右:同 吉葉山)
栃錦(右)、差し手をぬいて若乃花のうわ手を
をはり
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