初代若乃花 賛歌。 もう こんな 凄い力士は出ない!
9月1日大相撲第45代横綱初代若乃花逝去。82歳。
○ 写真下:新横綱若乃花(太刀持 琴ヶ浜), 華やかな栃若時代の二人。
○ 若乃花くらいその相撲振りを多彩に表現された力士が居ただろうか。
曰“土俵の鬼”曰“異能力士”、曰“かかとに目がある”、 曰“足の裏に目
がある” 、曰“仏壇返しの荒技”曰“二枚腰”、 曰 “膝に遊び(ゆるみ)
がある”、 曰“小さな大力士” ets...。
● 若乃花の相撲の特徴
1.どんな大きな相手であっても頭をつけずガップリ四つに組む。
(入幕78㎏,最重105㎏)
2.技の切れがよく、強烈。(それを、彼は“投げは八百長に打たない”と
表現している)いい加減な打ち方をせず、決まらない時は自分が負け
る時という位徹底していた。
だから良く決まったし、相手は土俵にたたきつけられた。
3.うっちゃり腰がない。(決まり手「うっちゃり」で勝ったことは一度もない)
土俵際まで寄られても左右に逃げたり うっちゃろうとしない。強力な
足腰で残し堂々と寄り返す。彼の両足の指は砂に食い込むよう鉤形
に曲がっていた。
4.土俵上で転がされて負けることが殆どない。(足腰が強靭で、投げを
食わない)
5.相撲振りがきれい(清澄)で潔く屈託がない。立ち渋りが殆どなく、
さわやか。
6.無口。自分の相撲について多くの説明・批評をしない。取組後、
記者から訊かれても「見たとおり」と一言述べるのみだった。
○ もう こんな 凄くて人気のある力士は出ない。
1. 上述(6項目)の全てを満たす「けれん味」のない力士はもう出現
不可能だ。
2. 荒稽古で鍛えた鋼(はがね)の様な一種凄みのある体を持つ力士
の出現はもう期待し得ないこと。若乃花の荒稽古は生きるか死ぬかの
様な激しいもので、思わず目を背けたくなる位の凄みがあった。
3. その鋼鉄の様に鍛えた体から繰り出される絢爛・華麗な技に相撲
ファンは酔った。若乃花が左四つ右上手を取ればあの容赦のない
土俵にたたきつける様な上手投げがいつ出るか、右四つ左上手を
取れば右からの呼び戻しの荒技がいつ出るか館内は熱狂し大歓声
と拍手の渦で騒然となった。こんなにも相撲ファンを興奮させる魅力
を持った力士はもう出現不可能だ。
4. 栃錦と並んで若乃花が昭和の名横綱と呼ばれる所以はなにか。
彼以降、彼以上に数字の上での成績を残した力士は大鵬をはじめと
して5指に余る。しかし、彼以上に館内を大歓声で沸かせた力士を
知らない。若乃花は負けない相撲を取った力士ではない。要は勝ち
方の質の問題なのだ。彼への大歓声は鍛えに鍛えた小さな体で大き
な相撲を取り相撲ファンに夢を与え続けた彼へのオマージュだった
のだ。
● すり足の芸術
1. 栃若時代の終焉となる昭和35年春場所千秋楽に於ける14戦
全勝同士の対決は史上初ということで異常な盛り上がりをみせた。
2. 栃はいくつかの連続わざの中から勝利を導きだすのに対し、若は
一発必殺に運命を賭ける。まさに“名人”と“異能”の最後の対決だっ
た。もう50年以上経ってしまったが、その攻防は時に応じニュースや
特集番組等で報じられてきた。
3. ところがこの取組の一部始終が流されることはまずない。従って
両者が攻防の合い間に見せる“すり足”の妙(みょう)に気づかれ記憶
されている方は余程の見巧者だけだろうと思う。
4. 技を極めた両者ががっぷり左四つに組んだらそう簡単に業が決ま
るものではない。数度の攻防の末、相手の技を警戒して土俵中央に
戻ろうする両者の“すり足”がなんとも素晴しいのだ。土俵上の芸術に
まで昇華していると言っても過言ではない。こんなに美しい“すり足”は
今に至るも見たことがない。
○ 最後に、全盛時の豪快・華麗な土俵を写真でどうぞ。
○ S35春千秋楽・史上初の横綱14戦全勝同士の決戦。ドーと立って
左四つ。両者うわ手、した手を十分に取る。互いに若の寄り身、栃の
吊り身、栃土俵中央に寄り返して内掛け。その後両者 技を出し合い、
また数呼吸。長期戦の模様。栃錦(右)は、長引いては不利と、左差手
を抜き若乃花(左)の右上手を切りにいった。その機を逃さず若は怒涛
の寄り身で栃を白房下に寄り切った。
仕切りに入る貫禄十分の両力士。(写真画報:栃若時代より)
立ち上がった瞬間(左:栃錦、 右:若乃花)
差し手の攻防 (検査役は、左:元横綱双葉山、右:同 吉葉山)
不敢取 おわり 弥吉
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