正倉院展を観る。
○ 今年も、11月6日(水)に奈良国立博物館における第65回正倉院展を観に行った。
先に西ノ京・薬師寺東塔の水煙降臨展を拝観し、感動の静まりを待って、大修理の成った法華堂にも足を延ばした。
正倉院展の会場へ着いたのは午後4時半を過ぎていた。(この時間になると、入場待ち時間はゼロになる)
○ 今回の目玉出陳は、「漆金薄絵盤(うるしきんはくえのばん)」で、間近で観るための待ち時間は20分だった。
写真の上でクリックすると、一杯に拡大する。是非、大画面でご覧下さい。
○ 蓮の花の形をした仏具で、香(こう)をたく炉盤の台座として使われていたと考えられる。(台座の裏面に墨で「香印坐」の記載あり)
金箔をはった木製の花びらの部分には、極楽浄土にいるという鳥「迦陵頻伽」、くちばしに花をくわえた「花喰鳥」、獅子、唐花文様などが描かれている。
造形美と極彩色の華麗さでは、正倉院のなかでも屈指の宝物である。また、一連の宝物として「黒漆塗香印押型盤」(香印の押し型)、「黒漆塗平盆」(香印の受け皿)が展示されているが、香を長時間にわたり焚く手法を知って、古代人の知恵の卓抜さに舌を巻いた。
○ ほかに印象に残った出陳品。
平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)
作られたのは、中国・唐の時代で、アジア各地から貴重な素材が集まる唐の都・長安あたりだろうとは、専門家の見解。
尚、正倉院宝物は、外国製が多いように思われるが、数から言えば全体の5%程度に過ぎない。
夜光貝やトルコ石、琥珀、ラピスラズリを散りばめた豪華な鏡で、聖武天皇の愛用品だった。
手の込んだ技法で、花模様の中に群れる小鳥たちは、貝を使った螺鈿細工で可愛らしく丁寧に描かれている。4羽の小鳥が集まり何やら話合っている様子が微笑ましい。是非、写真を拡大してご覧下さい。
おわり
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