-天皇皇后両陛下傘寿記念- 正倉院展を観る。
○ 昨日(10月28日)、正倉院展を鑑賞した。本年の出陳宝物は、
59件で、両陛下のご長寿を寿ぐような、華やかな宝物が多いようだ。
囲碁が趣味の小生は、やはり囲碁関連の宝物(2件)に興味を持った。
その1.桑木阮咸(くわのきげんかん)
円形の胴を持つ四絃の楽器で、中国製と推定される。阮咸とい名前は、
「竹林七賢人」の一人で琵琶の名手とされる阮咸に由来するといわれている。
胴の中央にある模様は、八弁の赤い花を描き、その中に描いた松や竹の下で、
囲碁を楽しむ3人の高士が描かれている。(写真下)
その2.緑地錦碁局覆(みどりじにしきのききょくのおおい)
六弁花を五の目に配し、間に2羽の綬帯を咥えた鳥を表した錦を用い、箱状の
覆いとしている。
明治時代に、碁盤を保護するための覆いと推定されたため、この名称がついた。
本来の用途は不明。平面的な姿でなく、当初から立体的な形状を留めている
のは貴重である。 (縦48、横66、高23)
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その他1:衲御礼履(のうのごらいり)
爪先が反り上がって、先端は二つに分かれている。白い厚革を芯材として、
表面には赤く染めた牛革が、内面には鹿革の白革が用いられている。表面に
13箇の花形の飾りを取付け、装飾を加えている。内側には、手のこんだ内布と
底敷きがある。
この履物は、大仏開眼会(かいげんえ:752年4月9日)で、聖武天皇が
履かれたものと推測されている。なお、履箱が付属、出品されている。
その他2 :鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうかはいのほうきょう)
正倉院に納められた多くの鏡の中で唯一の四角い鏡。まず一見して驚く
のは、白銅の輝きが今でも保持されている見事な鋳造技術である。鳥の羽根
先の繊細さ、葡萄(ぶどう)の粒、獅子の形や表情・・。白銅の成分から中国・唐
で作られたもののようだが、現在日本の鋳造技術でも制作は至難のようだ。
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○ 正倉院御物を観て感じ入るのは、それが単なる過去の宝物ではなく、
1250年以上前の天平人の息遣いをもって迫った来ることである。
今年も、天平時代を身近に感じるひとときを持てて感謝。
おわり
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