-苦々しい 日本語の乱れ-
2015.10.04 フィリーズ戦の8回、マーリンズ4番手の
○ イチロー、将来は得票率95%超で米殿堂入り?「彼の数字は
常軌を逸してる」
これは、過日、ある“野球・MLBの総合コラムサイト”を見ていたら、目
に飛び込んできた記事の見出しで、マーリンズ最古参の番記者の発言を
訳したものだ。番記者はイチローの安打数や盗塁数が偉大だと言って
いるのに、日本の訳者は日本語の使い方を誤ったのだ。
「常軌を逸する」の用法は、悪い性質や状態を表現する場合であって、
用例 「ーーー振る舞い」のように使用する。
○ 「生き様(ざま)」 ・・・ 「死に様」からの連想で使われだした語で、用法は
“凄まじいまでのーーー”のように、その人の生きる態度(姿勢)を表わす
肯定的な意味での使用法だ。然し、’90年代以前の辞典には、「死に様
(ざま)」しか記載されていない。「死に様」を転用した新しい言葉なのだろう
が、本来、「様(ざま)」とは、「無様(ざま)」、「この様(ざま)」、「様(ざま)みろ」のよう
にあまり良くない意味合いを含む言葉なので、恬として恥じず無神経に
使用するマスコミ・芸能人などの気が知れない。「生き様(ざま)」は使いたく
ない(定着して欲しくない)言葉の一つである。
○ 「憮然(ぶぜん)」 ・・・ 「憮然たる面持(おももち)で」の意味を問う調査(H19
年文化庁)をみると、①腹を立てている様子・・・70.8%、②失望して
ぼんやりしている様子・・・17.1%という結果が出ている。
本来的には、「憮然」は、失意のさまを表わし、悵然(悲しみ嘆くさま)
憫然(憐れむべきさま)に近い意味の言葉なのだ。従って、用例としては、
「---として溜息ばかり吐(つ)いて」のように使用して欲しいものだ。
○ 「姑息(こそく)」 ・・・ 用例 「姑息な手段」 ・・・ “その場しのぎの手段で
ごまかそうとする”など、良くない場面で多用されているため、卑怯、不正
の意味を強調する誤った使用例が多い。本来、「姑」は、“しばらく”、「息」
は“休息”の意味だから、「一時の間に合わせ、その場しのぎ」の意味に
限って使用して欲しいものだ。
弥吉
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