村山将棋は生きていた!
○ 昨日(3月15日)、第66期王将戦第6局(郷田真隆王将vs挑戦者
久保利明九段)は、挑戦者の久保利明九段が勝ち、対戦成績4勝2敗で
6期振り通算3期目の王将位を獲得した。
○ 久保九段はこれまで王将位のほか、棋王位を3期獲得するなど、戦
歴は赫々たるものがある。小学6年で奨励会に入った久保少年を可愛が
った村山さんは、泉下でさぞかし喜んでいることだろう。
○ 村山さんも遠い昔、王将のタイトルに挑戦したことがあった。平成5年
1~2月の第42期王将戦だった。当時六段だった村山さんにとって、7大
タイトルへの初挑戦だった。谷川王将の厚い壁にはね返されたが、遠か
った名人への道程(みちのり)を測定できたことが大きな自信となった。
○ 村山と久保との出会い。
久保は’86年(小学6年)秋、奨励会6級に入ったが、右も左も判らぬ
久保に親切に声をかけてくれたのが当時17歳で四段に昇段が決定して
いた村山だった。毎日将棋会館に通うようになった久保に村山はいつ
でも将棋を教えてくれた。毎日、毎日、6、7番以上指してもらった。村山
はやがて7段(B級1)に昇段し、久保も念願の奨励会を卒業し四段(プロ
入り)となった。それでも二人は将棋を指す。一体、何千局指したのだろう
か。
○ 久保は云う。「自分の将棋の半分以上は村山将棋です。村山さん
の将棋が血となり肉となって今でも自分の中に流れている」と・・・・。
写真下:第59期王将戦第3局(2010.2.11)の久保八段。
○ 村山は久保に対してだけでなく、来る者を拒まず、多くの奨励会会員
に将棋を教えた。関西在住の時は云うに及ばず、東京に行ってからも
奨励会員と将棋を指した。村山は多くの少年達に将棋の技術だけでなく、
自分の将棋に打ちこむ懸命さ、将棋観、直観力など全てのものを、駒と
将棋盤(対局)を通じて身につけて欲しいと切実に思っていたのだろう。
○ 久保は再び言う。「村山将棋は、指し手となって、未だにこの将棋
世界に生きている」のだと・・・。
おわり
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