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令和元年11月1日
〇 暖かい秋晴れの昨日、例年の如く正倉院展を観に行った。今年は
出陳41件で、幾分少な目であった。
素人目にも素晴らしく見える出陳品から5件を選び紹介したい。
写真上:僧侶が手で持ち、お香をたく道具。紫壇を使っており高級品。
紫檀はバラのような香りのする 別名 ローズウッド
大きさ:長さ39.5cm、高さ7.6〃、炉径11.0〃
写真上・下:炉の側面には、金象嵌(きんぞうがん)の技法で、花や
蝶、鳥の装飾が施され、豪華な宝石も鏤められている。
聖武天皇遺愛品で、1帖6扇の屏風。上の写真は第4扇で保存状態が
最も良い。各扇は、樹の下に立ったり、岩に掛ける婦人が描かれており、
「樹下美人図」の名で有名。衣服や木の部分に、ヤマドリや雉の羽根が
貼られていたが、現在では殆ど剥落している。盛唐時代の美人図を
彷彿とさせる天平美人の図で、面貌描写の画技が優れている。
3、紺玉帯残欠(こんぎょくのおびざんけつ)
紺玉=青い宝石(ラピスラズリ)で飾った革帯。方形や半円形の
紺玉を表側から銀の鋲で留めている。バックルは、銀に金メッキ
を施した高級品。帯は小動物の皮を使用。一部欠けている。
4、螺鈿箱(らでんのはこ)
上掲の紺玉帯の円形納め箱。檜材をろくろで成形し、表面
は黒漆塗り。表、側面には螺鈿や水晶などで、鳥や花の文様
を表わしている。華やかな円形の収納箱で正倉院の貴重品。
5、衲御礼履(のうのごらいり)
爪先が反りあがった鼻高履とも呼ばれる浅型の靴。表面は赤く
染めた牛革で、真珠や水晶を嵌めた花型金具で飾ってある。
752年の大仏開眼会で聖武天皇が履いたとされる。
1260年以上経過して、色鮮やかさを失わない靴や至宝の
数々を観て、長きに亘る多くの人々の管理努力に深甚の敬意を
表したい。日本人は凄い。
おわり
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