「将棋世界」’98(平成10年)10月号 さようなら、村山聖九段。

8月8日、午後零時11分、進行性膀胱癌のため村山聖九段が広島市民病院に於て死去した。わずか29年の、あまりにも苛酷で鮮烈な生涯を、村山は風のように全力で駆け抜けた。

将棋界の天才集団をすべてまとめて、ごぼう抜きできるとしたら、村山の他にいないと多くの棋士は思っていた。「終盤は村山に聞け」といわれる定評の終盤力と洗練された序盤の構想力は多くの棋士の心胆を寒からしめた。ただし、いつも彼自身の体調との戦いでもあった。
(P.147,P155より)