遠くにある中学校へ自転車で通うためここで練習をした。荷台をつかみ森は勢いよく走った。村山は懸命にバランスをとりながらペダルを漕いだ。 「大丈夫そうやな」 と森。「はあ。何とか」 と村山。 こうして夕闇の自転車特訓は終った。(翌日、村山は自転車で学校へ出かけていったが、転んで膝にひどい怪我をした。)
 
 夕方、「どうしたんや」 と森が驚いて聞くと、 「森先生、僕はもう一生、自転車には乗りませんから」 とキッと 目を光らせて村山は答えた。 「転んだんか」 「はあ、すぐに」 つい油断して普通の男の子と同じように扱ったことを森は後悔した。