平成5年2月10日 王将戦第3局二日目の終盤、谷川の89手目を見て村山は苦吟する。その3手前に打った7五桂は当然の一手のようにみえたが、その一手が村山から勝ちを奪っていた。勝てる将棋だった。勝ち筋は他にあったのだ。
 呻吟する村山、伸びやかで自信に満ちてみえる谷川。逆光の中での二人の対比が見事に一幅の絵となっている。             「将棋世界」’93.4月号グラビア頁より

 王将戦は結局、0勝4敗で谷川に敗れた。しかし、村山が得た財産は大きかった。そして、自分と谷川との距離を初めて正確につかんだのである。